伝統産業と革新
-地域に根ざすアントレプレナーシップとオープンイノベーション-
2026.01.10
日本には、織物、漆器、醸造、染色、陶磁器、和紙のように、地域の歴史や文化を色濃く反映して固有の技術や技能が継承され、数百年にわたって産地を形成している伝統産業の産地が数多くあります。伝統工芸品産地(伝統産地)では、売上高、出荷額が低下し、厳しい経営環境に陥った例は珍しくありません。その環境の中で生き残るには、産地内の事業者間の競争とともに産地間の激しい競争に勝ち抜かなければなりません。
伝統産地は、ただ古くから継承してきたものを伝えるだけで長く生き残ってきたわけではありません。伝統を活かした新製品開発、第二創業と呼ばれる事業構成の大幅な組み替えや新事業創造のケースも見られます。長く受け継ぐ伝統工芸技術や技能を活かし、現代的な価値の創造に挑戦する事業者は、伝統を継承する中で何らかの新機軸を打ち出して新たな市場を開拓しようと試みています。それには既存の枠組みやその延長線上の発想ではなく、リスクを厭わず挑戦してイノベーションを実現し、新しい価値を社会に提案するアントレプレナーシップ(企業家活動)が求められています。
この講座では、日本を代表する伝統工芸品である有田焼陶磁器と山中漆器を対象とし、伝統技術や技能に支えられて長く生き残ってきた産地の新製品開発と課題について、経営学の視点から考えます。